小さな恋 大きな恋
02
朝国光が学校へ行こうと鞄を背負ったところでとインターホンが鳴った。
「はいはーい。」
こんな朝から誰だろうと思いながら国光は玄関へ行くと、彩菜と倫子がしゃべっていた。
「母さん。」
「あら、国光。準備できた?」
「はい。倫子さん、おはようございます。」
「おはよう。」
国光が挨拶をしたので倫子も挨拶をすると倫子の足元からひょこっとリョーマが出てきた。
「国光!おはよう!!」
「おはよう、リョーマ。」
リョーマが笑顔で挨拶をしたので国光も少し微笑んで挨拶をした。
「ねぇ、国光。これから毎日リョーマちゃんと学校行って帰ってくれないかしら?」
「私からもお願いするわ。国光君、ダメかしら?」
「いえ、そんなことないです。わかりました。」
「国光と一緒に行って一緒に帰れるの??」
「そうよ、よかったわね、リョーマ。」
「うんvvv」
リョーマの満面の笑みを見たせいで国光はほんの少し顔を赤くした。
「今日は転校初日だから私も一緒に行くけど、明日からお願いね。」
「はい。」
「国光早く行こう!」
「うわっ!リョーマ危ない!では母さん行ってきます。」
リョーマに手を引っ張られ、倒れそうになりながらも靴をはいて彩菜に挨拶をし学校へ行った。
「はい、いってらっしゃい。」
「じゃあ、私も行くわね。帰りにまた寄ってもいいかしら?」
「ええ、もちろんよ!待ってるわ。」
そして、倫子も先に行ってしまった娘と親友の息子を追いかけて行った。
03
「おはよう、手塚。」
「ああ、おはよう。」
国光がリョーマと倫子と別れた後教室へ行き自分の席に着くとクラスメイトの不二周助が話しかけてきた。
「2人共おはよう。手塚、不二、今日このクラスに転入生が来るという話を聞いたか?」
続いて話かけてきたのがクラスメイトの乾貞治だった。
「そうなの?」
「ああ、さっき先生が話してるのを聞いたんだ。女の子らしい。」
「へぇ〜、どんな子なのかな?」
「さあな。俺もそこまではわからなかった。」
キーンコーンカーンコーン
不二と乾が転入生の話で盛り上がっているとき国光は1人黙々と片付けをしていた。その時チャイムが鳴り先生が入ってきた。そしてその後ろには転入生がいた。
「おはようございます。今日からこのクラスの皆さんと一緒に勉強するお友達を紹介します。越前リョーマさんです。」
「はじめまして越前リョーマです。」
リョーマはにっこり笑って挨拶した。
「越前さんは体が弱くてあまり激しい運動ができません。みんなも注意してあげてくださいね。じゃあ、越前さんの席は・・・」
「あっ!国光!!」
リョーマがクラスの中で国光を見つけて声をかけるとクラス中の視線がばっと国光の方を向いた。
「・・・・。」
「越前さん、手塚君と知り合い?」
「うん。お父さんとお母さんがお友達同士なんだ!だから私と国光もお友達になったの!」
「そう!じゃあ丁度いいわね。越前さんの席は手塚君の隣ね。」
「はーい!」
リョーマは先生に言われた通り国光の隣の席に向かってトコトコ歩いて行った。
「国光よろしくね!」
「ああ。」
「じゃあ、授業始めます。」
04
授業が終わり、休み時間になるとクラスのほとんどの子がリョーマと国光の周りに集まった。
「ねぇ、前はどこに住んでたの?」
「アメリカだよ。」
「すっげぇ!!じゃあ英語とかしゃべれるのか?」
「うん。学校とか英語だから。」
「すごーい!!」
「ねぇねぇ・・・・・。」
毎回休み時間にリョーマの周りにはたくさんの人がいた。国光は黙って1つ1つ質問に笑顔で答えているリョーマを見つめていた。
そして昼休み・・・
「リョーマ、ちょっと来てくれ。」
リョーマは国光に呼ばれて教室を出て行った。
国光がリョーマと一緒にやってきた場所は第2保健室だった。
「保健室?」
「ああ。ここは俺たちのたまり場なんだ。」
そう言いながら国光がガラッと扉を開けると中には数名の生徒がいた。
「あ〜手塚遅いよ〜。」
「すまない。」
「その子が転入生?」
「ああ。リョーマ、紹介する。こいつは隣のクラスの菊丸英二だ。」
「よろしく〜!!おちびちゃん名前は〜??」
「越前リョーマだよ。おちびちゃんって何?」
「ちっちゃいからおちび!嫌?」
「ん〜別にいいよー。私は何て呼べばいいの?」
「英二でもなんでもいいにゃ〜。」
「じゃあ英二ね!」
リョーマがにっこり笑って言うと菊丸は「かわいい〜!!」と言いながらリョーマに抱きついた。
「ちょっと英二、越前さんがつぶれるでしょ。僕は同じクラスの不二周助だよ、よろしくね。リョーマちゃんって呼んでいい?」
「うん。じゃあ周助でいい?」
「もちろん!」
「俺も同じクラスの乾貞治だ、よろしく。」
「よろしく!」
5人の会話に終止符を打ったのは昼休み終了のチャイムだった。

